変わらない世界
最近、何かと宮川先生と一緒になることが多い。
文化祭の係会もそうだし、授業に行くときは大抵途中まで一緒に行く。


俺はまた宮川先生と職員室を出ることになった。

「昨日のバスケ部の練習試合、どうでしたか?」

ぼんやりとしていたので、突然話し掛けられて驚いた。
あまりにも驚いたそぶりを見せてしまったため、宮川先生は俺に謝った。


「やっぱり他のチームから比べると…」

うちの男子バスケ部は弱小部で練習にも力をいれていない。
だから練習試合をしても他のチームとその差は歴然たるものだった。
だから他の先生から試合の結果を聞かれると少し口ごもる。


少しばかり足を進ませると2階のおどりばまで来た。

その時、田中が女子トイレから出てきた。
一瞬だけ俺と田中は目が合った。だが彼女の目は一瞬にして俺ではなく別の方へ向いた。
普段なら彼女の方から話し掛けてくるはずが、今日はいつもと違った。
心の中で少し動揺し、反射的に彼女の方を振り返って二度見してしまう。

「どうしたんですか?」

宮川先生に声をかけられてやっと我にかえった。


「いえ、何でもありません」

俺はそう言ってごまかし、その場を取り繕った。
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