変わらない世界
あれから2人は殆ど会話をすることがなかった。
係会でもさほど顔を合わせることはない。
2人の間では気まずい雰囲気が流れていた。

*******

先生と殆ど顔を合わせないまま、とうとう文化祭当日になってしまった。

有希のクラスは喫茶店をやっている。
文化祭当日、展示係はとくにこれといった役割は当たっていない。
そのため、クラスの喫茶店を手伝うことになった。喫茶店といってもシンプルなもので秋葉原のフリルの付いたメイド服の女の子がいるわけではない。
白の少しフリルの付いたブラウスと黒色のカフェエプロンに有希はさっそく着替える。

「有希ちゃんありがとね」

クラスの女の子が有希にそう言った。彼女もまた、有希と同じようなエプロンを着ている。シワがかかっていない様子をみると、きっと彼女は念入りにアイロンをかけてきたのだろう。

「うん、予定とか入ってないし丁度暇だったから」

有希はエプロンの裾野を手でパタパタと揺らしながら続けて言う。

「それに…今日は何だか楽しめそう」
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