変わらない世界
「落ち着いた?」

泣き止んだ私に先生はまた、優しく言う。
私は深く頷いた。


「下校時刻まわってるから、帰りなさい」

そう言った先生は私に鞄を渡してくれた。
それを受け取った私は先生に挨拶をして帰ろうとした。

しかし、それよりも先に先生は口を開いた。

「せっかく最近、体調良くなってきてるんだからちゃんと生きなさい」

私は驚いた。
前に話したことを先生はちゃんと聞いてくれていたからだ。
あの時は、真剣に聞いてくれていないと思っていたが…。

「先生、そのカッターは預かっておいて下さい。さようなら」

先生は小さな返事をすると私と同じように
「さようなら」と言った。

私は教室を出た。
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