彼氏と彼女。
ドキドキしながらお昼を待って、

授業が終わった瞬間、すぐさま中庭に向かった


「瑞季!」


ベンチに座って待っていれば、大きく手を振って走ってくる彼の姿


「瑞季から誘われるなんてすげえ貴重!!!

てか、すっげえ嬉しい!」


笑顔でそう言いながら早河くんは、私の空いている隣に座った


いつもより距離が近くて、心臓の音が聞こえてしまわないか不安だ


「…あ、あの」


「ん?」


パンを頬張りながら振り返る早河くん


私は、食べる手を止めて顔を上げた


「…き、昨日はごめんなさい」


深々と謝れば、彼はいつものように「気にするなよ!」と笑った



…早河くんは優しい


だからこそ、


「―――…えっと、き、今日は、大丈夫…です」


私が動かないと



「――…え?」


私が言った意味が理解出来なかったのか、彼は首を傾げる


「………き、きす。

したい…です」


今度はちゃんとはっきりと伝えた



「―――…いいの?」


優しく頬に触れられたのにさえ、私の身体はビクッと跳ねた
< 10 / 18 >

この作品をシェア

pagetop