君色に染まる
君色に染まらない
'' 菜穂…俺、海外赴任することになった。菜穂俺についてきてくれるよな?''
同じ営業部。
課長と補佐。
優秀で、若くして海外支社への異動を命じられた彼。
優しくて、いつだって私を包み込んでくれた。
背の高い彼の長い腕は私をいつも安心させた。
大好きな彼。
そんな彼からの、プラチナの婚約指輪は、受け取ることができなかった。
心の中のずっしりとした鉛の感情はいつもあった。
…海外には、行けない。
'' ごめんなさい。 ''
あなたを愛しているけれども。とは付け加えられなかった。