君色に染まる
福山菜穂。29歳。
この年となれば意識するのはもちろん結婚。
三姉妹の長女である私。
次女はもう結婚していて、信頼できる社内の親友である存在も、旦那、子持ちだった。
結婚を考えていなかったわけじゃない。
そのうち、結婚したいとは思っていた。
彼…江頭大和、とは付き合って6年だった。
結婚を何度も意識した。
でも、彼の海外赴任のことが出てからは結婚の話は曖昧に私がごまかしていた。
今思えば私はあの時から最低だった。
涙がほろりと落ちる。
並ぶ街灯の中で、一本だけ電気の点の切れた街灯は私の心みたいだった。