徒花と蝶
咲きたいと願った、あの町で




久しぶりに帰郷した。
新幹線が片道3時間、在来線に乗り換えて20分。
ようやく実家の最寄り駅に辿り着いた。

私がいた頃よりも少し所々が古くなった駅は、懐かしかった。


お気に入りのスーツケースを引き、駅員さんに新幹線の切符を渡し、改札を出る。
駅に着いただけで、『帰って来たんだなあ』という気持ちにさせるのは、この低い建物たちと田畑のせいだと思う。

私はノースリーブのキレイ目ブラウスにカーディガンを掛けて、テラコッタのジョガーパンツ、ヌーディーカラーのパンプスを合わせて、駅の前にいた。



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