徒花と蝶
「安達【あだち】とは、続いてるんでしょう?」
突然振られた話題。
一瞬“安達”が分からなかった。
ノンストップで『遠距離とかすごいね、何年目?』と聞いてくる亜由に、安達…つまり、祐輔と私が遠距離ということを亜由は言っているのだと何となく悟った。
けれど、そのことに関しては身に覚えがない。
だから、祐輔と私が?と聞き返した。
すると頷く亜由。
一体どうしてそこで祐輔が出てくるの?と思いながらも、『高校卒業してすぐ別れたよ』と彼女に言えば、『それは知ってる』と返ってきて。
なら何のことを言うんだ?と思いながら亜由の次の言葉を聞けば。
「だって同窓会の後の二次会で、酔い潰れた花楓連れて帰ったの、安達じゃん」
「…え?」
「お持ち帰りされたんだなってずっと思ってたけど、違うの?」
……成人式の二次会の後。
そう、私は記憶になかったのだ。