徒花と蝶
A型と言うこともあり、私には様々なこだわりがあった。
電子辞書は左上の棚に立てるだとか、バインダーは右側、ノートは真ん中、教科書は左側と。
母は私のそんなこだわりを熟知していたから、絶対に部屋に入ってきても、掃除機を掛けたり空気の入れ替えをするだけだった。
……なのに、その状態がどういうことなのか。
それが表していることは一つだった。
私はベッドに横になり、スマホを突く。
東京からずっと、私は電源を切っていた。
誰からの電話にも出たくなかったのと、…来ない連絡を待ち続けたくなかったから。
けれどもしかしたら。
そんな期待を込めて、私は電源を付ける。
すると、メールフォルダには事務的なメールやお気に入りのファッションブランドのメルマガや携帯会社のメッセージ。
LINEにもそれは同様で、東京の大学の友人から『お盆に会おうよ』とかそういったものばかり。
……やっぱり、そうだよね。
私は自傷気味に嘲笑う。
……来るはずのない連絡を待つなんて、本当にバカだ。