徒花と蝶





期待するだけ無駄だと、ちゃんとわかっていたじゃない。

私は、何度期待と絶望を繰り返せばいいの。



「……っ、冴島【さえじま】さん……」



2度と口にするものか。
そう思っていた名前を、口にした。

その瞬間に、私はやっぱり、彼を愛しているんだと再認識した。







そして、


自分がこんなにも愛に飢えていることを初めて痛感した。





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