徒花と蝶




私の想像通り、声から窺えるリサさんはイメージ通りの人だった。

控えめな、女の子らしい人。
男の庇護欲を掻き立てるような、私とは真逆の人だった。



『私に、何か…』



その“何か”はちゃんとわかっている。

なのにリサさんに聞くのは、私が意地汚いことを象徴していた。



<…今まで邪魔をしてしまってごめんなさい。ちゃんと、冴島とは別れますから>
『え…っ?』
<…冴島は、……っ秀人【ひでと】は、あなたのことが本気なんです…っ、きっとあなたを幸せにしてくれます…っ>



リサさんの口から出てきたのは、私が想像していたものじゃなかった。
むしろ、私が思っていた言葉を言われていた方が楽だったかもしれない。

…こちらの方が、腸が煮えくり返りそうで。


本気なんて、どの口が言うの?
そう思ったのは言うまでもない。



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