徒花と蝶




何?この子。
私が話が切れるように話していることにどうして気付かないの。

雰囲気で掴んでくれない?
空気読めないの?

そんな言葉を言いたかった。

けれど、そこは飲み込んだ。


ああ、もう。


――――苛立ちが止まらない。



「葵、本当にすごいね、お姉さん!雑誌で見た理想のOLって感じで!」



正直、うっとおしくて仕方がなかった。

何?
葵、こんなのが好みなの?


私は、食事が進まなかった。
逆に、戻しそうな勢いだった。



「そうか?」
「そうだよ!ああっ奈々も花楓さんみたいになりたい―――」



私はその言葉を聞いた瞬間に、トイレに向かった。

母が『花楓?!』と言って私の後を追ってくる。


もう、……限界だった。
食べた物も、胃液も何もかも出して、背中を擦ってくれる母の前で、泣いた。



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