徒花と蝶




昼に会った時はスーツだったけれど、ポロシャツにジーパンとラフな恰好をしている彼に、私は『…何で』と思わず声が出たのは言うまでもない。

何で、…祐輔が。
そんな私の言葉を察したかのように、苦笑いをする祐輔。

そして母が二千円を置いて行く。


『あとは祐輔くんに聞いてもらいなさい』と私に言い残して、席を立つ。

そして祐輔には、『何ならお持ち帰りしてくれちゃっていいから』と言った。


何を言っているの、という視線は送っておいたけど、言えなかった。

…気まずいが先行していたから。

だって、昼間だってあんな帰り方をしてしまったんだ。
気まずいに決まっている。

まあ、そんなこと母が知るわけがないのだから、こう言うことになっても致し方ないのだけれど。

私は、立ちっぱなしの祐輔に、『とりあえず座ったら?』と言った。


一体何様だよ、と思いながらも、祐輔は何も言わずに座る。




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