徒花と蝶
少し無言が流れていたけれど、祐輔が口を開く。
「おばさんに頼まれてたんだ」
「…え?」
「2、3日前だったかな。『花楓の様子がおかしいから、今度帰省した時に話を聞いてやってくれ』って」
タイミングが良すぎるとは思ったけれど、まさかこういう流れだったとは。
そう思いながらも、ちょっとだけ運命なんじゃない?とテンションが少しだけ上がっていた私が恥ずかしくなった。
まさか、母が祐輔にそんなことを頼んでいたとは思いもしなかった。
「…迷惑かけてごめん」
私がそう言うと、祐輔は『何で?』と言う。
「何で、って…」
迷惑以外の何物でもじゃない。
元カノの厄介ごとに付き合わされるだなんて。
私が逆だったら絶対に迷惑だもの。
いくら人がいい祐輔だって、そんな迷惑だって思わないはずがないじゃない。
けれど、それを言葉にはできなかった。
…情けなさ過ぎて。