徒花と蝶
私がその先を言わずにいると、再び祐輔が口を開く。
「少なくとも、俺は嬉しかったよ」
「え…?」
「おばさんから連絡もらえて、嬉しかった。花楓と会う口実ができたから」
何を言っているのと思った。
期待するから、そんなことを言わないでとも。
そうじゃなくても失恋で傷ついているのに。
…元カノのよしみとか、そう言う意味合いで言っているんでしょう?と。
「迷惑なわけないだろ?花楓と別れて、花楓が東京に行ってから、後悔ばっかりだったんだから」
『俺、2回生からずっと彼女いないんだぜ?』と苦笑いをして言う。
「一年間はずっと、花楓を忘れるためにいろんな子と付き合ったし、…それなりに遊んでみたけど、ダメだった」
忘れられなかった、と祐輔は言った。