徒花と蝶




逆に言えば、今まで忘れられていないってことに驚いていた。

祐輔は、私と付き合っていた頃からずっと女子からの人気が高かったから。

逆にどうして私なんかと付き合っていたのだろうと思うほど、彼は本当に優しくて。

卒業してからも親交のある私と祐輔の共通の知人と連絡を取った時には、たびたび祐輔の近況も話の流れで聞いてはいた。
『いい感じの人がいるみたいだけど、どうこうにはなってないみたいよ』とは勝手に報告されてはいたけれど。

…それでも、まさか、私にずっと囚われたままだっただなんて。

にわかに信じられなかった。


後にも先にもきっと彼以上の人は現れないだろう。

でも、それでも、私は祐輔と再びどうのこうの、と言うことは考えられない。

私は、祐輔が結婚すると聞いても、きっと『おめでとう』って言えるだろうし、心の底から祝福できる。
そんな自信があるほどだ。

…私の中ではもう、祐輔は“過去”だから。



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