徒花と蝶
「…俺はもう、花楓の中では対象外か?」
「対象外とか、そういうのじゃないの」
「…なら!」
「じゃあ、対象外」
「…っ花楓!」
「知らないでしょう?祐輔。私が、祐輔と別れた後のことなんて」
私がそう言うと、祐輔は眉をひそめた。
そうなるのも無理はない。
だって、私たちは両者の意見を一致させて、別れた。
一方的な別れ方ではなかったのだから。
何日もかけて、ちゃんと話し合った上での決断だった。
お互いに、新しい生活を迎える中で、新しい出会いもあるだろうし、きっと、長期休暇でもない限り、簡単には会えない距離がきっと、別れを決断させる時が来る。
そうなった時に、どちらかが一方的な別れを告げる日が来る。
言う方にも、言われる方にもなりたくないというお互いの意見の一致が、別れを決断させた。