君×私×彼
「ち、違うよ!」
「まぁまぁ照れなくていいから!」
違う
照れてるんじゃない
「本当に違うから…」
もう一度否定した時
前方に俊の姿が見えた
こっちも見た気がした
私は、訳の分からない気まずさと
恥ずかしさから
開きかけていたお弁当へ
視線を急いで移した
美紗希は私の様子が変なことに
気づいているようだった
「ねぇ…本当、どうしたの?」
美紗希には俊が見えていない
つまり、存在を知らない
私はこの状況に、少し安心してしまった
たぶん、美紗希が知ったら
また冷やかされてしまう
そう確信したから
「 なんでもないから、気にしないで!」
少し笑いながら言うと
「本当にー?」と、まだ疑っていたけど
それ以上は追求してこなかった