君×私×彼
「花奈」
私を呼ぶ声で我に返り、横を見る
呼んだのは俊だった
「何…?」
声をひそめて聞き返す
「どうした?具合悪い?」
心配したふうに聞いてくる
だけど、心配される覚えは無い
だって具合が悪いわけじゃないから
もしかして
誰から見ても今の私は
変に映っているの…?
「ううん…、具合悪くないよ?」
質問にだけ答える
「そっか」
俊はそれだけ言うと前を向いた
私も授業に戻る
先生は誰かに質問しているところだった
くしゃっと笑う表情
高めの笑い声
少年のような先生を
とても愛しく感じてしまった
だけど私は先生を遠ざけたい
訳の分からない感情が
行ったり来たりして
定まらなかった