サマー・タイム
「ありがとうございます。このノート大切に使わせてもらいます。」
『いえいえ~。』
『あと、これも開けてみてくれる?』
ラッピングされてる包みをほどいていく。
「ヒマワリの髪留めと、指輪…?」
『アキ、事故に会ったとき、隣町まで出かけてでしょう。』
「はい。その日は、用事があるって別々に帰って…。」

思い出しても切なくなる。

『その包みがね、カバンの底に入っててね。最初は気づかなったの。荷物を整理しててね。開けたら、指輪のとこに夏妃ちゃんの名前とアキの名前が彫ってあったから。』

指輪を手にとって見せてくれる。
「本当だ…。でもなんで?」
『アキね、ずっと、夏妃ちゃんのことが好きだったんだと思うの。小さいころ、聞かれたことがあるの、いくつになったら、結婚できるの?って。その時私が、18歳になったら、高校生卒業できる歳になったらいいわよ。って言ったの。覚えてたのね。』
アキのお母さんは、アキの写真を眺める。

「私も、アキの事が好きでした。私の片思いだって思ってました」
涙が溢れる。
『夏妃ちゃん…。』
「アキも、私もバカだな。両想いだったんですね。」
『アキ、今月で、夏妃ちゃんが18歳になるから、準備してたのね。本当。夏妃ちゃんのことが好きでたまらなかったのね。』
アキのお母さんは、私の背中を優しくさすってくれる。

アキにちゃんと伝えなきゃ。
写真の側に寄る。

「アキ。これは嬉しくて泣いてるんだからね。私も、小さいころから、ずっと好きだったよ。今も変わらずにね。私、絶対忘れないから、アキとの思いで大事にするから。側で見守ってて。」



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