愛しい君へ
「北野さんのことについて、ね。」


俺はその名前が出てきてピクリと反応する


「愛がどうしたんだよ。」

俺は南を睨みながら次の言葉を待つ


「…正直言って、君邪魔なんだよね。」


「は?」


「北野さんも迷惑してるんだよね。」


愛が…?


てか、まず


「なんでわざわざあんたに言われないといけないんだよ。」


俺のイライラはピークに達していて、敬語とかそんなこと気にしている余裕なんてなかった




「北野さんは俺の大事な彼女なんだ。」



その瞬間俺の頭の中は真っ白に弾け飛ぶ




…は?


今…こいつ何て言った



愛とこいつが…


「お前ら付き合ってるのか…?」


俺の声は震えていて、動揺を隠せずにいた



「そうだよ。だから君は邪魔なんだ。北野さんのために諦めてくれよ?」



南は固まる俺の肩に手を置き、歩いて行った











「…嘘、だろ…?」



俺は拳を強く握る



愛とあいつが付き合ってる



…ああ、だからか



だから愛は俺を避けるようになったんだ


俺の気持ちが邪魔だから



「…失恋かよ…。」




頭の向こうで予鈴が聞こえる…


…戻らないと




俺はその場に座り込み、しばらく立ち上がることができなかった
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