愛しい君へ
「おい、慎平!サボるなら連絡ぐらいしろよな!俺が苦労しただろうが!」



結局、俺が教室にもどってきたのは授業が終わった後

教室に入ると、呆れたように斗真が立っていた


「…わりぃ…。」


俺は謝りながら斗真の横を通り過ぎ、自分の机に向かう


「何かあったのか?」


俺の態度が変だったからか、斗真は眉間に皺を寄せながら尋ねてきた


…さすが親友


何も言わなくても分かるってか


俺は静かに椅子に腰を下ろしながら口を開く


「…斗真、お前の予想は外れてたみたいだぜ。」


俺の言葉に斗真は怪訝な顔をする


「…し、慎平…?」


「…愛、南と付き合ってたんだよ。」


「はっ…?それ誰が…。」

「南だよ。さっき会ったんだ。」


俺は机に顔を伏せる


「愛が俺を避けてたのは、俺の気持ちが邪魔だったからなんだよ。」


…愛が好きなのは俺じゃなかったんだ



失恋、したんだよ…俺は



強く拳を握る



そんな俺を斗真はただ黙って見ていた
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