愛しい君へ
…これは何を言っても聞きそうにないな


俺は荷物を持ったまま愛の手を握っていた手を頭の上に置き、


「はいはい。じゃあ、無理しない程度に頑張れよ。」

頭をぐしゃぐしゃ撫でた


「ちょ、やめてよ!」


必死に抵抗する愛を見つめながら頬が緩む


「まっ、そんな愛も好きだけど。」


俺は笑顔で言う


固まってる愛をおいていきながら尋ねる


「これどこに持って行くんだ?」


「…えっ、し、職員室。」

「りょーかい。」


「はっ、えっ、ちょっと!待ちなさいよ!」


急いで隣にきた愛の顔は真っ赤で、俺は笑いが出た


「ぶはっ…、真っ赤だよ?愛?」


「な、ち、違うわよ!これは、そう!走ったから!今走ったから暑いだけ!」


「はいはい。」


下手くそな嘘をつき続ける愛が可愛くて、俺は笑いが止まらなかった
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