愛しい君へ
「…告白しようかな…。」

「はっ?」


机に顔を伏せながら呟く


…てか、


「斗真!いちいち俺の呟きに反応すんなっ!」


隣でジュースを飲みながら座っている斗真に大声をだす


「何?シカトしてた方がよかった?」


「…いや、すんません。反応してください。」


「てか、お前まだ告白してなかったんだ。」


ジュースのストローを加えながら尋ねてくる


「はぁ?何言ってんの、お前。どう見たって、俺告白したことないじゃん。」


「…いや、いつものあれは告白じゃないんだ…。」


呆れたような目で見てくる斗真を意味分からんと言わんばかりの目で見る


「あれは俺から愛への挨拶だよ。」


「何人だよ、お前。」


立ち上がりながら訴える俺を、こいつは一言で流しやがった


「…でも、あんまゆっくりしてる暇はなさそうだな。」


「はぁ?」


斗真の言っている意味が分からず、指差す方向へ視線を移す


「あ、愛じゃねぇかっ―――…





あ?」



指差す方向には大好きな愛がいて、その隣には男がいる



「だ、誰だあいつ!?」


俺は勢いよく指を差す


「二年の南祐司(ミナミユウジ)。まぁ、見たとおり整った奴だからなぁ、学校一モテるな。確か最近好きな奴が出来たとかで。その相手をおとそうと頑張ってるらしいぞ。」


ペラペラと、その南祐司とかいう奴のことを話す斗真に呆然とする


「お前すげぇな…。」


「そりゃ、どーも。」



…学校一のモテ男ねぇ?


…ん?


好きな人…?


好きな人…




「…その好きな人って、まさか!?」


俺は嫌な予感がして、斗真に詰め寄る


「北野さんだよ。」


な、なんだと!?


愛のことが好きなのか!?


俺のライバルかよ!?


「やばくねぇ!?俺!」


「今更気づいたのかよ。」

焦る俺を冷静な斗真が落ち着かせる


「まぁ、南が好きなだけで、北野さんが好きなわけじゃねぇし。」


「いや!あれを見てみろよ!」


俺が指差す方向には何故かすっげぇ笑顔の愛の姿


「お、俺にはあんな笑顔くれたことねぇのに…。」


「あっ、自覚はあったんだ。」


「なっ、それどーいう意味だよ。」


俺は面白がっている斗真を睨んでやった
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