愛しい君へ
「いてててっ…。」



俺は頭に痛みを抱えながら起き上がる


俺の腕の中には青ざめた雛がいたけど


「し、慎平!?大丈夫!?」


雛はアタフタしながら俺の頭を気にする


「大丈夫だって!俺、頭だけは頑丈だか――…」


「良かった!」


雛は勢いよく俺に抱きついてくる



…雛…、


「泣いているのか…?」


かすかに震えている雛に尋ねる

「だ、だって…っ!あ、あたしのせいで慎平がっ…!慎平がっ…!」


普段は俺の姉貴みたいな存在の雛


だけど、今はすっげぇ幼い女の子みたいな感じがする


俺は雛の背中に腕をまわし、頭を撫でる


「大丈夫だって、俺は元気だからさ!だから泣くな、雛!」


俺は笑顔で答える


「…っぐす、ほ、本当に?本当に大丈夫なの?」


鼻声の雛に少し笑いがでた


「ははっ、雛泣きすぎ。だから――…」



"大丈夫"


俺が言おうとしたこの言葉はあっというまに喉の奥に消えた







「…。」



「…あ、愛…。」





俺は一瞬で神様を呪った
< 8 / 21 >

この作品をシェア

pagetop