a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 私が倒れた時、公平が、私のこと“美和”
って叫んだのが、噂の発端らしい。
 さすがに、仕事中は、苗字で呼び合ってい
るから、私達が、学生の時一緒だって知らな
い人にとっては、呼び捨ては、刺激があった
みたいで・・・
 どうして、こうも面倒なことばかり起こる
のだろうかと溜息をついた。
 そんな事情もあるけれど、今日は昨日の件
もあるし、一大決心をして、公平にお弁当を
作ってきてやったのだ。
 昨日のお礼について必死で考えた結果、
なんやかんや言ったって、私のせいでお金
いっぱいつかわせちゃったし、お給料前で、
苦しいはずだし、公平が、こんなことで、餓
死したら大変だし・・・
 それに、ご飯おごるっていっても、結局公
平が支払っちゃうだろうし、お金だと絶対に
受け取らないのもわかっていたから。
 あと昨日のけんかも後味悪いし・・・
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