a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 何度か三島課長のところに、公平から連絡
が入ってたけど、公平達は、夕方になっても
まだ戻ってこなかった。
 私は、会社を出てから、公平の携帯に電話
してみたけど、素っ気ない留守電のメッセー
ジが流れるだけで、公平の声は聞けなかった
 思わず、空を見上げて、想いをこぼしてみ
ても、届かない。ビルのひしめく空は、晴れ
てても星が見えなくて、味気なかった。
 そういえば、高校の頃、公平と帰った帰り
道、空いっぱいの星でてたっけ。
 丁度こんな季節だった。
 公平への想いが届かなかったせつない夜
の物語・・・
 今、公平の彼女なんて考えると、顔が熱い
 でも、まだなりたてだから、こんな夜は、
電話くらいほしい。
 だけど、公平がまめでないことは、よくわ
かってる。それに、仕事だと仕事優先になる
ことも。ついでに言うと、照れ屋で、面倒く
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