a・ri・ki・ta・riな雨の物語
早い。
 情報通がいるらしく、時には、社員も知ら
ないマニアックなことまで。
 香奈は特別、人にペラペラ口外することも
ないけれど、学生時代からのクールな香奈
に比べたら、考えられないほどで、どっちか
っていうと、ミーハーな私が、香奈にいろい
ろ情報を教えてたほうなのだから、人は変わ
るのだ。
 香奈は、いい意味で、砕けてきた気がする
 「香奈、どこにいるの?芸能人」
 「ちょっと、美和芸能人じゃなくて、有名
人だからね」
 私達は、1階ロビーできょろきょろあたり
を見まわしていた。
 吹きぬけになってるロビーは、明るくて、
広い。こんなとこで、不審な行動をとってる
私達のほうが、よっぽど、目だってしまう。
 すると、大きなガラス張りの自動ドアの向
こうで、真っ赤なポルシェが、ゆっくり滑り

 
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