a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 「だからわざとなの」
 軽い小競り合いの最中私達は、愛想笑い
を浮かべて、はじめましての会釈をかわし
た。
 「こいつ、小、中、高と一緒の相田美和さ
ん。ひさしぶりに地下鉄の中で会ったんだ」
 私のいい訳なんて無視して、さっさと進め
る公平
 「美和、こっちは・・・」
 何気ないワンシーンだった。公平が私の事
呼び捨てで呼んだ瞬間、目の前の人の顔が
強張ったように見えたのは、気のせい?
 公平の彼女?
 公平はその変化に全く、気づくすべもなく
鈍感なとこは、学生の時からぜんぜん変わ
ってないみたいだ。
「森田美鈴さん。会社の同期なんだ」
 同期?ってことは、おなじ25歳。
 その人は、淡いブルーのスーツを着こなし
ていて大人っぽくて、とても私と同じ歳に見
えなかった。
仕事が出来る女性って感じがした。
 




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