a・ri・ki・ta・riな雨の物語
赤い糸が切れてたら、たぐりよせて、自分で
結んじゃえばいいのよ。もうそれくらいした
ってあんた達だったら、バチなんてあたりゃ
しないわよ」
 一瞬たじろいだ。
 キレぎみの香奈の声は、満月にも届く勢い
で、私の頭上目掛けて一直線に落ちてきた
 結構迫力があった。
 「相当強引・・・」
 私は少し焦りながら言った。
 なのに、その強引さが、香奈らしくておか
しかった・・・
 おかしくて、なんだか、笑ってしまった。
 香奈の言葉が、キラキラと光りながら、か
らっぽの心に染みこんで、笑っているのに、
涙がこぼれてきた。
 公平とは、普通の恋だったはずなのに、奥
さんのいる、三島課長の時よりも、心が揺れ
ていた。
 公平のこと好き過ぎて、何をどうしたらい
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