a・ri・ki・ta・riな雨の物語
られて、声の方に近づいていった。
 「香奈、どうして近づくのよ」
 不気味な声は、隣のビルの方から聞こえ
ていた。
 私は、香奈に引っ張られて、隣のビルが見
渡せる位置まできていた
 恐る恐る、テスリから、隣りのビルを覗い
てみると
 動く影。見覚えのある顔?
 [かなーっ、あいだーっ」
 「町田くん?」
 町田くんが、手を振ってる
 「町田くん、何してるの?」
 町田くんは、隣りのビルの非情階段を、ず
っと香奈って叫びながら、駆け上ってきたら
しく、息も絶え絶えだった。
 「香奈、ニューヨークに行くなんて知らな
かったぞ」
 町田くんは、ぜぇぜぇ言いながら、隣りの
ビルから身を乗り出して、叫んでた。
 「公平から、さっき聞いた。そうしたら、
< 188 / 206 >

この作品をシェア

pagetop