a・ri・ki・ta・riな雨の物語
「何泣いてんだよ」
 振り向いたら、公平だった。
 人が引くくらい、泣いてるとこ聞かれてし
まった。
 「バカヤロー携帯の電源くらい入れとけよ
夏の夜の公園は、ぶっそうだろうが」
 公平に思いっきり怒鳴られた。
 「あーっ飛行機に乗るとき電源切ってその
ままだった」
 公平の迫力に、別の意味の涙が出てきそ
うだよ。
 「会議は、長引くことあんだよ。それに、
雨降ってたら、こんなとこ突っ立ってないで
どっかに雨宿りしとけよ。風邪ひくだろ」
 公平は、私に傘差し掛けたまま、ちゃんと
濡れないようにしてくれてはいるけど、笑顔
なんて全くなくて、相当怒ってるみたいだっ
た。
 でも、一応心配してくれてるし、今のうち
に、おとといのこと・・・
< 197 / 206 >

この作品をシェア

pagetop