a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 電車が駆け抜けるたびに、生温かい風を
残していく地下鉄は、日常の風景だった。
 
 私は昨日から、心が乱れている。
周波数の合わないラジオのようだ。
 だから、何気ない日常の風景が恋しかった。
 人の息遣いが恋しかった。

 地下鉄の扉の奥も、普通の日常だったは
ずなのに・・・
 
 そこには、今まで以上に平常心を、乱して
しまう事件がまっていた。
 
 心がものすごいスピードで、反応してしま
ったのは、あいつに出会ってしまったから。


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