a・ri・ki・ta・riな雨の物語
と離れ離れになるのが、あんなに悲しかった
のに、今になってまた一緒になるなんて、ど
ういうこと?
 運命は意地悪で、日本の経済なんて大嫌い
 公平のいる会社なんかで、働くのいやだか
ら。絶対にいやだから!
 
 と、言ってるのに、・・・引越しが済んで
しまった。
 お隣だから、案外簡単だったのだ。
 先輩やルミちゃんは、大手に吸収されたこ
とを喜び、結婚相手を探すと色めきだってい
た。
 下っ端は、お気楽だったはずなのに・・・

 敵地に乗り込む最初の朝は、憂鬱で、まる
で、迷子の宇宙人が、踏みこんではいけな
い別の惑星に来てしまったような気分だった
 なのに、ビルは、おしゃれで、華やかで、
不覚にもときめいてしまった。 
 「美和ー」
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