a・ri・ki・ta・riな雨の物語
現実なんてこんなもの?
 この季節が丁度、高校の時別れた雨の遊
園地の記憶を呼び起こさせるようで、ちょっぴ
りせつない。
 微かな雨の匂いが胸の奥で、小さな震動
を送りはじめた。

 なのに!

 「おまえぜんぜん変わってないな」
 8年目の再会の言葉は、これだった。
 公平は。真顔で言ったあと、高校の頃と変
わらない、くしゃってした顔で笑った。
 私が、久々の再会で、こんなに心がこんが
らがってるっていうのに、普通に話す公平が
いる。
 
 現実なんて、そんなもんだ!
 
 「きれいになったとか言えないかな」
 気を取り直して、不機嫌に答えてみた
 


< 5 / 206 >

この作品をシェア

pagetop