a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 どうして、よりによって公平なの?
 もう公平の顔、見ることが出来ず、慌てて
外に飛出した。
見られたかな?見られたかな?見られたかな?

 次の日は、当然公平と目を合わせることが
出来なかった。
 三島課長は、今日から出張でいない。
 それは、救いだったのだけど、朝から落ち
着かない。
 公平のこと、ずっと避けていた。
 出来る事なら、このままずっと避けたい気
持ちでいっぱいなのに、同じフロアにいるだ
けに、所詮無理な話だった。
 「相田さん、これお願いします」
 机の上で、ペンを握りしめたまま全然進ま
ずにいた私の所に、突然公平が、書類を乱
暴に置いていった。
 とっても感じが悪いのだ。
 明かに、昨日のことと関係している態度だ
った。
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