a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 「奥さんのことは、わかってるよ。みんな
傷つくかもだけど、ふたりは、ずっと前から
うまくいってないの」
 「そんなの都合のいい、いい訳だろ。おま
えは、もっと自分を大切にすべきだろーが」
 「もういいよ。ほっといて・・・」
 どうしたんだろう。天井が回り始めてる。
 そういえば、昨日寝れなかったんだ。
 平穏無事な日常が恋しかった。
 心が苦しかった。
 「公平には、かんけいな・・・こうへい」
 私は、公平の胸元に崩れ落ちてしまった。
 「みっ美和!美和!」
 遠くで、公平の声がしている。
 公平の腕の中って落ち着くね。温かい・・・
 「木下!救急車!」
 香奈もいるの?
 公平、救急車は大げさだよ。遠い意識の中
でそんなこと思っていた。

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