a・ri・ki・ta・riな雨の物語
 意外な言葉だった。
 香奈には、反対されると思ってた。
 なのに、不倫とか、三島課長のことについ
て、香奈は触れなかった。
 そして、何かを思い出したように笑って、
 「前田くんて、普段は冷静でしょ。ちょっ
と天然の部分もあるけど、高校の時は、委員
長やってたり、会社でも仕事冷静にこなして
るのに、美和のことになると、昔っから冷静
でなくなるのよね。不思議だけど」
 「えっ?」
 「今回も血相変えて救急車って叫んでたわ
よ」
 「あっあぁ・・・大げさだよね」
 「美和のそばには、心配してくれる人がい
るってことよ。前田くんもわたしも。だから
美和がどんな答えだしても・・・」
 そう言いかけて
 「ちなみに、女の子はね、本当に好きな人
の腕の中が一番幸せなんだよ」
 香奈が言った
 本当に好きな人・・・
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