a・ri・ki・ta・riな雨の物語
あれこれ推理していた。
 「CDの中身って、今開発中の商品につい
ての資料と顧客情報でしょう」
 「うん」
 「ねぇ、それがもし、ライバル会社や、マ
スコミに漏れたら、やばいわけでしょう」
 「かなり」
 「だとすると」
 香奈が、ひらめいた様にご飯を口に運ばせ
て言った。
 「スパイがいたりして」
 「えーっスパイなんて、香奈テレビの見過
ぎだよ」
 私は、香奈の唐突な意見に笑った。
 「会社に恨みをもってる人や、引きぬきに
あってる人だったらありえるってことでしょ」
 真剣な香奈の表情に、私達の会話は、い
つのまにか変な方向に向いてしまった。
 「美和は、昨日何か見たり、怪しいと思っ
たことないの?」
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