女子高生が白狐の許嫁!?
そんな日が続いているある日・・・

「李斗、なんで・・・」

部屋の片隅で1人で静かに泣く音春。

「・・・おい。」

すると、音春に意外な人物の声が届く。

「・・・そ、冬青さん?」

襖を恐る恐る開けると、

相変わらず無表情の冬青が立っていた。

「・・・鼻をすする音が聞こえてきたから

寄ってみただけなんだが・・・


もしかして・・・泣いてるのか?」

「だ、大丈夫!全然平気だから・・・」

「・・・嘘つくな。

平気って顔してないぞ。」

完璧に見破られた音春は、

冬青に迷惑をかける訳にはいけないと襖を閉めようとする。

その手を冬青が掴む。

「・・・喋りにくいんだったら喋らなくていい。

ただ・・・」

彼の口からは意外な言葉が飛び出した。


「ただ、たまには俺の事も頼れ。

・・・力になれるかどうかは分からないけど。」

そんな彼の不器用ながらも愛のある言葉に音春は

「じゃあ、頼ってもいいですか?冬青さん。」

と返した。

冬青はたった一言。

「あぁ。」 とだけ返し、

泣きながら音春の話すことを静かに聞いた・・・。
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