笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
「ネックレス…」
そこには、華奢なデザインのネックレスがひとつ、キラリと光って微笑んでいた。
全体的にシルバーで統一された、光沢のあるネックレス。
中央にはストーンがついていて、その形は少し角が削られて丸みを帯びている。
細かい作りだけど、全体が華奢なため、懲りすぎているようには見えなく、肌なじみが良さそうだ。
きっと今年も、両親が相談して選んでくれたのだろう。
私はそのネックレスを見つめたまま、ただそう思った。
――キラキラ、また、私とは正反対の星が箱の中で輝く。
ネックレスなんて、普段あまりすることがない。