笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
ふと声が漏れて、私は目にとまったものに触れた。
よほど夢中で気がつかなかったのか、箱の中、ネックレスが入っていた下に、小さな紙が入っていたのだ。
それは白くて少し厚さのある紙で、指先で撫でると少しザラザラとした触り心地を感じた。
この紙質から、なにかの間違いで入っていたただの紙切れではないことが分かった。
ただ、その紙には何も書かれていない。
こんな箱の中に無地の白い紙。
一体これは何なのだろう。
不思議に思った私は、今度はその紙を裏返す。