笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


するとそこには黒い小さな文字で、何かが書かれていた。


小さい文字に目を凝らして、横書きで書かれたその言葉に目を通した。


そして。


“本当の幸せに気が付くだろう”。


全ての文字を読み終えたとき、私の脳内にはそのフレーズだけが大きくこだました。


――本当の、幸せ。


ただ、その一文が書かれていただけだった。


他に何も書かれていない。


ただそれだけの、白い紙。


私はその小さな紙を見たまま、手のひらの上のネックレスを軽く握り締める。


――このネックレスをしていれば、本当の幸せに気が付くということだろうか。


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