笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
私は紙をもう一度裏返してみる。
やはり片面にその文字が書いてあるだけだった。
どこにも、このネックレスについての説明だとは書かれていない。
――だけど私の中では、何故かそう感じることしかできなかった。
心が、身体が、このネックレスのことを信じてみようと動き始めていたから。
本当の、幸せ。
私の、本当の幸せって、なんだろう。
改まってそう考えたことなんて、なかったかもしれない。
いや、考える理由もなかったんだ。