笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
私は笑うことができないから、笑わなくても不自由がなく生きていくこと、それが本当の幸せで。
笑えなくても自由に生きていくこと、笑えなくても素直に生きていくこと、それが本当の幸せを感じる瞬間なのだから。
そんなこと、ずっと前から分かっていたけど。
でも。
このネックレスに、ほんの少しだけ期待を込めてみようか。
この小さな紙に書かれたことが、本当かどうか。
――私の本当の幸せの理由を、もっと強く感じられるかどうか。
自分で体感すれば、きっと分かるはずだ。
私は箱と紙をテーブルの上に置くと、ネックレスだけを持って鏡の前へ移動した。
鏡に映った自分と何秒か向き合って、ネックレスを首の周りに通す。