笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
慣れない作業にぎこちなく動きながらも、ネックレスを付けた自分の姿をただ見つめてみる。
自分では、違和感しか、感じない。
だけど。
胸元にストーンが光るネックレスが鏡に反射し、私にウィンクしたように見えた。
同時に、ヴー…と部屋に響いた、バイブ音。
手に取ったスマートフォンの画面には、少ない文字。
【 俺は依美の名前が好きだけどな 】
心臓がふわりと浮くような、この感覚。
7月7日。
今年の七夕は、星ではない何かに、願いを込めた気がした。
そう。
私の中ではじめて生まれた、その願いを。