笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
隣にりぃがいない通学路は、物凄く静かだった。
いつもは前日やってたテレビの話とか、最近好きな芸能人の話とか、今日は小テストがあるけど勉強していないとか、体育の授業で思い切り汗をかいても大丈夫なように、替えのシャツを持ってきたとか。
そういう話をいつも、りぃはニコニコしながら話す。
私が相槌を打つ暇もないスピードで話すものだから、全部の話を真剣に聞いていると言ったら嘘になるかもしれないけど。
でも。
りぃの話が聞こえてこない通学路。
隣にりぃの姿が見えない通学路は、本当に、静かだった。
私はいつも、当たり前のように、周りの何かに支えられているのだ。
そう、その有難さに気が付かないほど近くにある何かに。