笑顔を持たない少女と涙を持たない少年




「ハイ、ご苦労さん」


職員室は朝から涼しくて、教室に入る前にここに来てしまったことが間違いだったと後悔した。


ただでさえ暑くて蒸している教室の中を、きっと余計に暑く感じてしまう。


私は昨日担任に頼まれていた雑用を昨日の夜に終わらせ、今日登校してまずはじめに届けに行っていた。


「さすが沢野、仕事が丁寧だ、ありがとな」


私がホッチキスで止めたプリントを、担任はパラパラと確認しながら目を通していく。


私はその横で何度か頷きながらも、脳内では他のことを考えていた。


それは――昨日の午後の授業を、欠席したこと。

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