笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
担任にはバレていないのだろうか。
いや、そんなはずはない。
授業が始まる前にその科目の教師が必ず出席を取るから、私がいないことになんてすぐに気がつくはずだ。
私は今日担任の元へ行ったとき、てっきりガミガミと怒られると思っていた。
だから何も言われないのが逆に不気味で、不自然だ。
まだプリントに目を通している担任を見てみる。
「よし、じゃあ戻っていいぞ」
そんな私の視線にも気が付く様子もなく、担任は私を見ずにただそう言い放った。