笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


「…はい」


そう返事した私は、その瞬間にあることを理解した。


きっとここの高校は、一日や二日、授業を無断欠席したとしても何も言われない。


注意されるのは、その無断欠席が続いたときだ。


仏の顔も三度まで、ということわざのように。


いくら優しい学校のルールだとしても、それが続けば注意をされること間違いない。


そのときは、きっと、保護者にもその事実を伝えられるだろう。


私は軽く頭を下げて、そのまま職員室を出た。


今はまだ、セーフだから。


これ以上授業を無断欠席しなければ、注意されることはないから。


大人しく、授業に出席すればいいだけ。



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